地理で重要になる海岸の特色ある地形を紹介します。
1. 三角州(さんかくす)
川の上流から流れてきた土砂などが、河口に堆積して形成された地形をいいます。
枝分かれした2本以上の河川(分流)で囲まれた、上流に頂点をもつ三角形の低く平らな地形のことです。平野などの低地にあるためにあります。
肥沃な表土が厚く堆積しています。
デルタ地帯とも呼ばれています。エジプトのナイル川が有名。
2. 扇状地(せんじょうち)
山側を頂点として扇状に堆積した地形のこと。
川が傾斜の急な山地から平野や盆地に移る所で形成される扇形(おうぎがた)の地形をいいます。
扇状地の頂点を扇頂、末端を扇端、中央部を扇央といいます。
堆積物は山から平地へ川がでる点を頂点とし、頂点付近には粗い堆積物、広がった川下には細かい土砂が堆積します。
扇央部は、桑畑や果樹園として利用されている。
扇端部は、水田が立地しています。
3. リアス式海岸
海面上昇や地盤の沈降や海面の上昇によって海岸の出入りが複雑になった地形をいいます。
海岸線が複雑に入り組み、のこぎりの歯のようにギザギザ状の地形になっているのが特徴です。
日本では岩手県の三陸海岸南部が有名です。
4. フィヨルド
氷河の浸食で削られ、海面上昇や陸地の沈降により沈水して形成された地形で、狭い湾のことをいいます。そのため、どんなに内陸に入り込んでも岸辺は海抜0m、水は海水です。
海岸線が断崖絶壁の場所が多く、海底の地形はU字型をしています。
ノルウェー、スウェーデンなど、おもに寒帯の地域に多くみられる地形です。
リアス式海岸に似ていますが、フィヨルドはかつて氷河の発達した地域でしか見ることができません。
5. 砂丘(さきゅう)
風によって運ばれた砂が堆積して出来た丘状の地形のことをいいます。
日本にも、鳥取県の鳥取砂丘など、たくさんの海岸砂丘があります。
6. 多島海(たとうかい)
一定の範囲に多くの島々が点在する海域のことです。
海面が上昇したりすることで、かつての山の頂上部分だけが海面に頭を出し、多くの島となった地形をいいます。
地中海の東部にあるエーゲ海は、大小合わせて約2,500の島々が点在しているところから多島海とも呼ばれます。
日本も多島海国家であり、日本は6,852の島で構成される島国です。
日本の主な多島海
- 松島湾
- 三河湾
- 英虞湾(伊勢志摩国立公園)
- 瀬戸内海
- 備讃瀬戸
- 宇和海
- 浅茅湾(壱岐対馬国定公園)
- いろは島(玄海国定公園)
- 西海国立公園
- 九十九島地域
- 平戸・生月地域
- 五島列島地域
- 天草(雲仙天草国立公園)
- 琉球諸島
7. 砂州(さす)
海岸線から離れた海中に流水によって形成された細長い堆積地形をいいます。海岸や湖岸の近くに見られます。
岩石海岸が浸食されてできた砂や礫、あるいは河川から流れ込む土砂によって構成されています。
日本の主な砂州
- サロマ湖 (北海道北見市・同常呂郡佐呂間町・同紋別郡湧別町)
- 御浜岬(静岡県沼津市)
- 天橋立 (京都府宮津市)
- 小天橋 (京都府京丹後市)
- 弓ヶ浜 (鳥取県米子市・同境港市)
- 波の橋立 (山口県長門市)
- 曲崎 (熊本県苓北町)
- 長目の浜(鹿児島県薩摩川内市・上甑島)
扇状地と三角州の違い
「扇状地」…山地から平地へ流れ出る所で形成される地形
「三角州」…河口付近で形成される地形
フィヨルドとリアス式海岸の違い
「フィヨルド」…氷河の浸食で削られた場所が沈水して形成された地形
「リアス式海岸」…谷が河川に浸食され沈水して形成された地形
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