日本の農業の特徴
日本の農業の特徴は、以下のの3つが挙げられます。
- 食料自給率の低さ
- 農地面積の狭さ
- 農業従事者の高齢化
日本の国土の4分の3は山地であり、平地は4分の1程度しかないため、耕作面積が諸外国に比べて狭い。そのため、狭い耕作面積で人手や肥料により多くの生産を挙げる「集約農業」が進んでいます。
また、農家を継ぐ人が減り、農業人口の「高齢化」が進んでいます。
日本の食料自給率は先進国の中でも低く、「40%」程度です。主要作物で自給できるのは「コメ」のみで、野菜の自給率は比較的高いが、小麦、だいずなどは自給率が低く、その大部分を輸入に頼っています。
食料自給率というのは、自国で消費する食料のうち、どのくらいを自国で生産しているかを表す数値のことです。
代表的な畑作地帯として、北海道の十勝平野(とかちへいや)や関東の関東平野が有名です。
主な農作物の生産地 一覧
農作物の生産量をグラフ化した問題で、生産地を答える問題がよく出題されます。
下記の一覧は、農作物と生産地を一覧にしたものです。
生産地は、
長野 茨城 群馬 = 1位:長野 2位:茨木 3位:群馬
のように生産量の順に並べてありますが、その年によって生産量が変わる場合があるので順位は非表示にしてあります。
主な農作物の生産地 一覧表
農作物 | 生産地 |
---|---|
レタス | 長野 茨城 群馬 |
はくさい | 茨城 長野 北海道 |
じゃがいも | 北海道 |
さつまいも | 鹿児島 茨城 千葉 |
キャベツ | 愛知 群馬 千葉 |
きゅうり | 宮崎 群馬 福島 |
ナス | 高知 熊本 群馬 |
ピーマン | 茨城 宮城 高知 |
ほうれん草 | 千葉 埼玉 群馬 |
玉ねぎ | 北海道 佐賀県 兵庫県 |
はくさい | 茨城・長野・愛知 |
さつまいも | 鹿児島・茨城・千葉 |
らっかせい | 千葉・茨城 |
キク | 愛知 沖縄 福岡 |
りんご | 青森 長野 山形 |
みかん | 和歌山 愛媛 静岡 |
ぶどう | 山梨 長野 山形 |
もも | 山梨 福島 長野 |
さくらんぼ | 山形 北海道 |
うめ | 和歌山 群馬 |
いちご | 栃木 福岡 熊本 |
なし | 千葉 茨城 栃木 |
柿(かき) | 和歌山・奈良・福岡 |
小麦 | 北海道・福岡・群馬 |
米 | 新潟・北海道・秋田 |
さとうきび | 沖縄・鹿児島 |
茶 | 静岡・鹿児島・三重 |
いぐさ | 熊本・福岡 |
促成栽培と抑制栽培
その時期にない野菜を生産・出荷することができるので、高い値段で売り、儲け(もうけ)を大きくすることができるのが特徴です。
促成栽培と抑制栽培の比較表
促成栽培 | 抑制栽培 | |
---|---|---|
特徴 | 温暖な気候を生かして、野菜の生育を早めて収穫・出荷する | 夏の冷涼な気候を生かし、出荷時期を遅らせて野菜を出荷する |
地域 | 高知平野 宮崎平野 など | 中央高地(長野県など) 群馬県嬬恋村 など |
野菜 | キュウリ、ナス、ピーマン など | レタス、キャベツ、はくさい など |
促成栽培(そくせいさいばい)とは
温暖な気候を生かして、通常の収穫時期よりも早めに収穫して出荷する栽培方法です。
夏にできる野菜(キュウリ、ナス、ピーマンなど)を春や冬に作って出荷します。
ビニールハウスなどを用いるので施設園芸栽培とも呼ばれていて、本来の季節とは違う時期に出荷することができるので、農作物を高く売ることが出来ます。
代表的な場所は、冬でも温暖な宮崎平野や高知平野が有名です
抑制栽培(よくせいさいばい)とは
夏の冷涼な気候を生かし、通常の収穫時期よりも遅らせて収穫し出荷する栽培方法です。
抑制栽培の代表例として高冷地の“冷涼な環境”を利用した「高冷地農業」あり、そこで収穫で着る野菜を「高原野菜」といいます。
レタス、キャベツ、はくさいの生産が有名です。特に長野県野辺山原のレタスや群馬県嬬恋村のキャベツが有名です。
通常ならば,出回らない時期に生産・出荷することで,高い値段で売れるので,もうけを大きくすることができるためです。
日本の米作り
夏に高温多湿となる日本の気候は、稲作(米作り)には適しています。特に北海道、東北地方、北陸地方で盛んに行われていて、東北地方の米の生産量は、全国のおよそ4分の1を占めています。
「日本の穀倉地帯」と呼ばれる東北・北陸地方には、それぞれ秋田平野、庄内平野、越後平野など、水が豊富な地域となっている。
米の生産がさかんな平野
米の生産がさかんな平野、川、都道府県をセットで覚えておきましょう。
都道府県 | 平野 | 川 |
---|---|---|
北海道 | 石狩平野 | 石狩川流域 |
秋田県 | 秋田平野 | 雄物川流域 |
山形県 | 庄内平野 | 最上川流域 |
新潟県 | 越後平野 | 信濃川流域 |
土地の改良
石狩平野の客土
石狩平野は、泥炭地(でいたんち)と呼ばれる稲作には適しない土地でしたが、他の場所から土を持ってきて土を混ぜる 客土(きゃくど)という方法で稲作に適した土地に改良しました。
越後平野の暗渠排水(あんきょはいすい)あんきょ排水
越後平野は、水はけの悪い湿田(しつでん)だったため、地中に管を埋めて水はけを良くする暗渠排水という方法で乾田に変えました。
農業生産を高める主な工夫
集約農業 | 狭い土地から出来るだけ多くの収穫を得るために肥料や人手を費やす方法 |
---|---|
棚田 (たなだ) | 山の斜面を活用した田 |
段々畑 (だんだんばたけ) | 山の斜面を耕地として活用した畑 |
品種改良 (ひんしゅかいりょう) | 寒さや害虫に強い品種を開発すること |
農作物の輸入
日本が輸入している農作物のうち重要なものを表にしました。
農作物 | 輸入相手国 |
---|---|
小麦 | アメリカ・カナダ・オーストラリア |
大豆 | アメリカ・ブラジル・カナダ |
とうもろこし | アメリカ・ブラジル・ウクライナ |
日本の農業 要点
以下に農業に関する重要な語句を一覧にします。 ひと通り覚えておくようにしましょう。
十勝平野
北海道全体の約10%の広さを持ち、豆類やじゃがいもの生産がさかん。
関東平野
日本で最大の面積(約1万7000平方キロメートル)を持つ平野で、野菜や工芸作物の生産がさかん。
大都市向けに野菜や花を生産する「近郊農業(きんこうのうぎょう)」が発達している。
石狩平野
泥炭地(でいたんち)だったが、客土(きゃくど)や治水事業により水田や畑が広がった。
泥炭地(でいたんち)
沼や湿原の一種で、水はけが悪く農業には向かない土地
客土
他の場所から運んできた土をまぜること
八郎潟(はちろうがた)
秋田県にある湖。湖だった地域を干拓(かんたく)によって、耕地を作った。陸地部分が大潟村になった。
越後平野(えちごへいや)(新潟県)
新潟県に広がる平野で全国的なコメの産地として有名です。信濃川流域。
特にコシヒカリの産地として知られています。
灌漑(かんがい)
農地に外部から人工的に水を供給すること。 愛知県の三大用水などが有名。
愛知県の三大用水:「明治用水」「豊川用水」「愛知用水」
有機農業(ゆうきのうぎょう)
化学肥料や農薬を使わない農業。
近郊農業
茨城県、栃木県、千葉県、埼玉県などの首都に近い「近郊」で、行われている農業のこと。大都市に近いため、出荷した野菜を即日店頭に並べることが出来て、消費者は新鮮な野菜が手に入るという利点があります。
単作
一年に一種類の作物を栽培する農業。
二毛作
一年に二種類の作物を栽培する農業。
二期作
一年に一種類の作物を二度、栽培する農業。
減反(げんたん)政策
米をつくりすぎないようにする国の政策(せいさく)。
転作
減反政策の中で、米以外のものをつくるようにすること。
用水路
水が不足しがちな田畑に川や湖から水を引く施設
暗渠排水(あんきょはいすい)
水はけの悪い湿田を乾田に変えるもので、地下に埋めたパイプから、余分な水をすて、土地を改良する。
露地栽培(ろじさいばい)
ビニールハウスなどでなく、作物を屋外の畑で栽培すること。
工芸作物(こうげいさくもつ)
農作物の分類で、比較的長期にわたる加工、製造工程を経て製品にいたる農作物
加工されることで製品になる農作物のことで、いぐさ(たたみの原料)、茶、さとうきびなどがある。
コメント